メディア通信工学ゼミナール

対象:メディア通信工学科2年生, その他受講資格のある者


2015年度の開講:後期・火曜日・4講時

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各教員に学生が数名ずつ配属され,勉強や演習や実験を行ないます.

矢内研究室では,当初から,PBL (Project-Based Learning; Problem-Based Learning / 課題解決型学習) の形態で授業を実施しています.

人間情報工学研究室・矢内のテーマ

●2015年度「立体感をテーマとした作品の制作」

人間の立体感をテーマとした作品を制作する.作品は,映像作品または実際に使うことのできる装置である(全員でどちらか一方の作品を制作するか,2チームに分けて両方の作品を制作するかは,相談の上で決定する).映像作品の場合にはYouTubeに投稿することを目標とする.授業の進め方は次の通りである.はじめに授業の数回にわたり,教科書を中心とした勉強や体験を通して視覚についての理解を深める.つづいて,作品制作に入る.作品制作の進め方は,企画会議から始まり,調査→討論→立案→制作→評価→討論→調査→討論→修正案→制作のような流れとなる.最後に,作品についてレポートにまとめ,研究室内発表会を実施する(例年,レポートは1プロジェクトあたり30ページほどの分量である).

▼教科書:「視覚世界の謎に迫る---脳と視覚の実験心理学」, 山口真美, 講談社ブルーバックス.

■成果
話し合いの結果,4名の学生が2名ずつ2チームに分かれ,それぞれ,ゾグラスコープ(Zograscope)と伊藤高秋式平面画像立体的認識装置を製作した.完成後,事前知識のない学生数名ずつに協力してもらい,紙に印刷した写真の立体感が装置によって変化するかどうかを評価した.その結果,どちらの装置の場合も,写真を直視するよりも装置を通して見る方が立体感が増した.写真(クリックで拡大)は装置完成記念写真である.右がゾグラスコープ,左が伊藤高秋式平面画像立体的認識装置.


●2014年度「錯視の研究」

人間の視覚について学び,錯視の研究(考察)を行なう.前半は教科書を 中心とした勉強や体験を通して視覚の理解を深める.後半は,こちらで用意 した錯視について,その謎を解く研究課題に取り組む.研究課題の進め方は, 討論,調査,計画,実験,分析,報告を複数回繰り返し,最後に論文として まとめ,研究室内発表会を実施する(例年,論文は配属学生全員の合作で30 ページほど).

■研究課題:イラスト内の人物の性別判断における色,形,配置の影響
※ 研究内容を少しだけ補足すると・・・・街で見つけた,錯覚を誘発すると思われる図形について,その錯覚が多くの人に共通するものであるか,そして,もしもそうであれば,なぜその錯覚が生じるのか,その原因を探る研究.

▼教科書:「視覚世界の謎に迫る---脳と視覚の実験心理学」, 山口真美, 講談社ブルーバックス.


●2013年度「人間の心理と行動」

実験や考察を通して人間の心理や行動について知ることを目的とする.前半 は教科書を素材に勉強や体験をしたり,教科書の参考情報(文献,Web)で理 解を深める.後半は調査研究課題に取り組む.調査,実験,分析,報告を繰 り返し,最後に報告書としてまとめる.今年度の課題は錯視である.

■研究課題:人間の錯覚を利用した,目が大きく見えない老眼鏡の開発のための基礎研究

▼教科書:「MIND HACKS --- 実験で知る脳と心のシステム」T. Stafford and M. Webb 著,オライリージャパン.


●2012年度「人間・脳・心理」

実験や考察を通して人間・脳・心理を知ることを目的とする.教科書の説明 を参考に実験することや,テキストに紹介されているWebサイトを訪れて,デ モ体験方法の説明(一般には英文)を理解して体験することも含まれる.ま た,情報を収集,整理,分析,表現,交換するための基本を培うことも,こ のゼミの目的のひとつである(余裕に応じてエクセルやC言語を用いた演習を 含む).

■実習課題:オリジナル盲点測定装置の製作

▼教科書:「MIND HACKS --- 実験で知る脳と心のシステム」T. Stafford and M. Webb 著,オライリージャパン.


●2006年度〜2011年度「実験で知る脳と視覚」

実験や考察を通して脳と視覚を知ること,そして,視覚に関する興味深い現象のデモを製作することを目的とする.テキストの説明を参考に実験することや,テキストに紹介されているwebサイトを訪れて,デモ体験方法の説明(一般には英文)を理解して体験することも含まれる.また,情報を収集,整理,分析,表現,交換するための基本を培うことも,このゼミの目的のひとつである(エクセルやC言語を用いた演習を含む). [an error occurred while processing this directive]
※注意事項……授業中の発言や授業ノートの分量と内容,そして調査や考察課題への取り組み状況に応じて成績を付けます.ただし,評価に際 してはゼミという実施方式の性格上,他の授業とは違って,どれだけ身に付いたかよりも,どれだけ熱心に,誠意を持って取り組んだかを重視します.

■演習・実習課題(抜粋)
2011年度
ラバーハンド錯覚にインスパイアーされた,非接触型錯覚体験装置の製作
2010年度
大型SCANIMATION®ボード(200cm×100cm)の製作
2009年度
SCANIMATION®定規および本の原理の理解とオリジナル作品の製作
2008年度
SCANIMATION®定規および本の原理の理解とオリジナル作品の製作
2007年度
人間の周期的タッピング特性の分析と,タッピングを利用したゲームの開発
2006年度
人間の頭上から撮影するカメラ映像を利用した重心同様特徴の分析

▼教科書:「MIND HACKS --- 実験で知る脳と心のシステム」T. Stafford and M. Webb 著,オライリージャパン.


●2005年度「ランダム性の人間情報学」

人間はどれくらいデタラメ(ランダム)になれるのか,そしてデタラメ度から何が分かるのか,について研究する.デタラメに振る舞うことは簡単だと思うかも知れないが,“真にデタラメ”に振る舞うことは難しい.どんなに努力しても癖が出て,何らかのパターンが現われてしまうものだから,である.授業ではランダム系列生成課題に関して,文献を読んで勉強したり討論することに加え,C言語によるプログラミングや,(時間に余裕があれば)マクロメディアFlashを用いたソフト開発演習も行なう.

▼教科書など:資料を配付


●2004年度「人間乱数——それは何か,そしてそこから何が分かるのか?」

人間乱数とは人間が作る乱数のことである.そして乱数とはデタラメな数のことである(英語では random number).デタラメな数を作ることは簡単だと思うかも知れないが,“本当にデタラメ”な数を作ることは非常に難しい.人間はどんなに努力しても癖が出て,デタラメではなく何らかの特徴が表われてしまう.ここでは,乱数,人間乱数,そして人間について考察する.(参考:コンピューターや数学の分野でも,長い間,そして今でも,本当にデタラメな数の作り方は最先端の研究テーマのひとつである.) 授業では,本や文献を読んで理解したり学生同士で討論することに加え,C言語によるプログラミングや,マクロメディアFlashを用いたデモソフト開発演習を行なう予定である.演習では研究室の学生や矢内が必要に応じて丁寧に指導するので,プログラミングが得意な人はもちろん,あまり得意ではない人もやる気があるなら心配はいらない.

▼教科書など:資料を配付


●2003年度「じゃんけんの科学:人間と情報処理と人工知能」

日本人にはあまりにも日常的で当たり前のじゃんけんだが,そこには人間や情 報処理の本質がつまっている.じゃんけんに強い人と弱いひとがいるのはなぜ だろう,あるいはそう思い込んでいるだけで本当は強弱はないのだろうか. 「あと出しじゃんけん」に対する弱さは,単に人間のもろさの現われなのだろ うか,それとも人間が生きる上で重要な何かを映し出しているのだろうか.こ のゼミナールでは,じゃんけんを題材に,人間と情報処理と人工知能の基本を 考察してみたい.授業では,本や文献を読んで理解したり学生同士で討論する ことに加え,C言語によるプログラミングや,マクロメディアFlashを用いたデ モソフト開発(ActionScriptを含む)を行なう予定である.演習では矢内や研究 室の大学院生が必要に応じて丁寧に指導するので,プログラミングが得意な人 はもちろん,あまり得意ではない人もやる気があるなら心配はいらない.

▼教科書:「情報処理概論—予測とシミュレーション」篠本滋著,岩波書店


●2002年度「脳と人工知能」

脳,ひいては人間を理解し,あるいはその優れた特質を技術に活かそうと研究 する分野のひとつに人工知能があります.木を見て森を見ずにならずに,「木 を見るより,まずは森を見て下さい」という趣旨で書かれた下記教科書を素材 に,遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークの勉強をします.この教科 書は数学が苦手な人にも理解できるように工夫されていますが,場合によって は数式を用いた方が簡潔で分かりやすいので,ゼミでは数式を用いた補足を加 えたり,コンピュータープログラムを作って理解を深めます(仮りにプログラ ミングが得意ではなくても,矢内や大学院生が丁寧に指導するので,やる気さ えあれば大丈夫です).そして,もしも時間が許せば,このゼミに参加できな かった学生や,この分野に興味のある中高生にも面白さが伝えられるような実 演模型(機械式,電気式,あるいはソフト?)を製作してみたいと考えていま す.

▼教科書:「マッチ箱の脳」〜使える人工知能のお話,森川幸人著,新紀元社


●2001年度「脳とロボットと情報処理」

「人間のマルチメディア情報処理」の研究に劣らず精力的に取り組まれているのが「生物の群れ」の研究である.蟻システムをはじめとする群知能の研究はその一部である.

「人間のマルチメディア情報処理」の研究が単体として高機能なシステムを考察するのに対し,「生物の群れ」の方は単体としては低機能なシステムが群れをなしたときに発現する高機能を考察する.

「群れ」の基礎の勉強からはじめて,最終的には,マイクロコントローラー(AVR,8ビットマイコン)を核とした電子回路を組み立てて簡単なロボットを作り,複数のロボットの振舞いを観察する(ことを目標にする).C言語プログラミングや回路の組み立て作業をともなうが,仮りにそれらが得意ではなくても,矢内や大学院生が丁寧に指導するので,やる気さえあれば大丈夫である. [an error occurred while processing this directive]

▼参考文献(抜粋):計測自動制御学会誌・計測と制御,第31巻,第11号,1992:特集 群知能ロボット


●2000年度「自然の脳・人工の脳」

前半は,下記教科書を中心に自然の脳や人工の脳(ニューラルネットワーク)について勉強する.勉強は,担当者が他の参加者に説明し,参加者は質問したり担当者とともに考えるという輪講形式を基本とする.後半は,人工の脳の基礎となるパターン認識と学習の原理を実演するための機械式模型を工作する.ゼミナール参加者が協力し合って企画,設計,製作をする. [an error occurred while processing this directive]

▼教科書:「絵とき・脳と神経の科学」小林繁他著(オーム社)1997年


●1999年度「文字入力のヒューマンインターフェイス」

矢内は,人間の情報処理(脳),人間と情報の関わり(認知科学,ヒューマン・インターフェイス),など人間に関するあらゆる研究に関心を持っています.今年度のメディア通信工学ゼミナールでは,その中からヒューマン・インターフェイス(言い換えれば人間機械相互作用)に関するテーマを取り上げます.

手を用いた文字入力の新たな可能性を探る研究に触れてみることにしましょう.具体的には,文字入力方法(タイプライターなど)に関する文献調査,既存キーボードや新しい入力装置の入力効率の実験と解析,などです.

▼参考書:「ヒューマンインタフェース」田村 博 編(オーム社)1998年


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