再認確信度と主観的類似度には関連性があることが分かりました.この結果の解釈や意義についてはまだまだ検討の余地はあるでしょう.例えば,結果それ自体については,確信度と類似度の関係が直線なのか曲線なのか,また,仮に直線だとしても,ここで得られた傾きは課題や実験条件によりどの程度変動するのか,などです.
ここでは,20年ほど前に公表されたWilton and File (1975) の手法を用いて,ひとの記憶の性質(傾向)を探る試みをしてみました.手法は古典的ですが,加えてコンピューターなどを活用すれば,最新の研究の流れにも貢献できる可能性もあると思っています.例えば,最近のHe et al. (1996) を見ると,最新の技術を駆使するのではなくとも,実験の設計がうまければ,単なる心理物理実験にとどまらずに,意識のような複雑な問題や神経生理学との関連性にも発展する研究ができるということに改めて気付きます.