茨城大学大学院理工学研究科 情報工学専攻
茨城大学工学部 電気電子システム工学科
人間情報工学研究室(矢内浩文研究室)紹介

2024年 6月16日更新


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もくじ
> 工学部で心理学の観点からの研究が必要な理由
> 研究室について(含む:卒業生の進路)
> 教員からのメッセージ
> 活動の記録
> 研究室ガイダンス資料
> 論文題目リスト
> 電気電子工学プレゼンテーション(2020年度までのメディア通信工学輪講に相当)

工学部で心理学の観点からの研究が必要な理由[↑もくじ]

このページの下の方で、「(この研究室は)理系の切り口で人間心理にアプローチしています」と述べていますが、工学部で(あるいは工学部なのに)心理学の観点からの研究が必要なのはなぜでしょうか?

その理由は、目的が人工知能やロボットの開発であるにせよ、あるいは、便利な情報通信システムの開発であるにせよ、次のようにまとめることができます。
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どのような最新技術であっても、人が利用するものは、「人が必要とすることやもの」「人の能力」「人の行動パターン」を理解し、それに合わせてデザインすべきだからである。
┗━━━━━━━━━━━━
これは、ドナルド・ノーマン氏が著書「誰のためのデザイン?〜認知科学者のデザイン原論〜[増補改定版]」(新曜社、初版2015年)の p.10〜p.11 で「人間中心デザイン Human-Centerd Design」について述べている内容を多少表現を修正しつつまとめたものです。

研究室について[↑もくじ]

●発足     1999年4月
●構成 2024年4月現在、大学院生:2名、卒論生:5名、教員:1名(矢内浩文
●所属 茨城大学大学院 理工学研究科 情報工学専攻 / 茨城大学 工学部 電気電子システム工学科
●場所 茨城大学HKC
HKCは「日立工学部キャンパス」の、茨城大学非公認の略称(地図や交通はこちら
> 学生研究室:E5棟501号室(通称 ロス)
> 矢内の居室:E5棟506号室(通称 バークレー)
> 実験室:N3棟304-3号室(通称 サンディエゴ)
HKC(非公認略称)の建物配置はキャンパスマップを参照。

 ↑E5棟入口

 ↑E5棟から見る日立キャンパス(海側)

 ↑桜咲く大学グラウンドの360度パノラマ。右端から4分の1辺りにE5棟の一部が見える。
●独自 黙々アワー、ペラペラアワーなどの実施
・ラボネームの使用 --- ラボネームは laboratory name のことで、研究室内専用ニックネームです。これは、研究室内での自由な討論の促進とメンバーの一体感を高める目的で導入したものです。学生たちのラボネームには、ガイ / クーパー / ゴッシュ / ゴー / サイモン / サンダー / ジミー / ジョー / ターナー / ダイヤ / ネオ / ハリー / バーサ / ベッカー / ベル / ミーシャ / メイ / リンギー / ロダン / リチャード / ロング / ロック / オーク などがあります。教員にもラボネームがついていて、呼びかけるときには「センセー」ではなくラボネーム「コーチ」を使用します。
●集会 研究室メンバーが集合する時間には、 「輪講」 「合同ゼミ(機械システム工学科の研究室と)」 「輪対アワー」 「状況確認面談」 「輪読会」 「イングリッシュアワー」 「黙々アワー」 「ペラペラアワー」 「健康増進アワー」 「ノリノリアワー」 などがあります(文字が小さいものは休会中もしくは最近開催していないもの)

  • 輪講(ゼミ)は、研究や調査を報告し討論する場です。《通年、ただし4年生の担当は6月以降》
  • 合同ゼミは、同じ情報工学専攻の梅津研究室と合同で隔月開催するゼミです。各回の担当は2研究室で交替制。《通年》
  • 対策アワー(電気電子工学プレゼンテーションおよび組込みシステム実践基礎対策)は、週に2度行ない、「4年生と院生」で実施する対策アワーAと、「4年生と矢内」で実施する対策アワーBがあります。
  • 状況確認面談は、毎週1回、課題の進捗を矢内との個人面談で確認します。《通年》
  • 輪読会は、テキストを学生同士で勉強します。各回の講義担当者は他の参加者に分かりやすいように内容を説明し、参加者からの質問に答えます。当然、担当者に分からないことも出てきますから、その場合には参加者全員で議論します。講義担当者とは別に報告担当者を設け、報告担当者は報告書とノートをファイルに綴じます。《通年》
  • イングリッシュアワーは英文読解の時間です。《後期》
●生活 〈指針〉研究室集合の有無にかかわらず、月曜から金曜の10:00〜18:00は研究室に来ることが可能なスケジュールを立ててください。アルバイトなどはこれを踏まえて設定してください。
●資料 資料作成にはLaTeXを使用します。Wordは使いません。(Officeアプリケーションのうち、データ分析のためのExcelや、プレゼンテーション作成のためのPowerPointは使用します。)
●得点 各自の行動(発言の活発さ、自律的な行動、時間遵守度、など)に応じて「Kポイント」が増減します。ナイスプレイに対してはプラスを、ナイスでないプレイにはマイナスを加算。クォーター毎にKポイントを集計し、ポイントの少ない学生は研究室内外の労作を担当します。Kポイントは、新しいクォーターが始まるとリセットします。
●交流 連絡には「Microsoft Teams」「Googleカレンダー」を、課題達成状況などの情報共有には「Microsoft Teams」「Evernote」を利用。
●進路 卒業生、修了生の進路

教員からのメッセージ[↑もくじ]

収穫主義
研究室では、活動時間ではなくその日の収穫に応じた評価をする「収穫主義」をとっています。なお、収穫主義は成果主義とは異なることに注意してください。社会人になれば成果が求められますが、学生時代は多くの失敗を経験し、失敗から学ぶための期間です。よって、失敗を記録し、分析することも後の成果につながり得る収穫であると考えて「収穫主義」と呼んでいます。

「授業」と「研究(卒業論文や修士論文)」の違い
授業の評価は、不完全あるいは曖昧に書いた答案で6割正解であれば合格となりました。しかし、卒業論文、修士論文へ向けた研究(や社会へ出てからの仕事)では99%以上の完成度を目指さなければなりません。ただし、ここでいう完成度とは成果の水準ではなく、根拠づけの水準です。なお、目指すべき水準は、指導教員との日々の打ち合わせを通して適宜修正します。そのためにも、指導教員とのこまめな討論が大切です。

各自の研究テーマとそれ以外のことの関係
自分自身の研究と、研究室の他のメンバーの研究や文献紹介、あるいは、エンジニアリングデザイン課題、大学公開や外部イベントで取り組んだことなどを結びつけて考えることが大切です。さまざまな取り組みをバラバラのままにせず、どのように結びついているかを常に考え、意識することが大切です。

また、研究課題の具体的目的だけでなく、研究課題をリサーチクエスチョンの中でどのように位置づけられるかを考え、意識することで、研究課題の枠内に留まらず、自分が取り組んでいることが他のことがらとどのように関連しているかを知ることができます。

活動の記録[↑もくじ]

▼研究室メンバーの学内外の活動記録
こちら

研究室ガイダンス資料[↑もくじ]

■卒業研究のテーマと概要

人間情報工学研究室では、人が無意識にしてしまう判断や行動の分析と、その応用に取り組んでいます。感性や雰囲気など、言語化できない情報をデータ化し、分析し、考察しています。データ化に際しては、視線追跡装置(eye tracker)や人間行動データ化専用システムを活用したり、必要に応じてビデオ画像処理システムを自作します。言わば理系の切り口で人間の行動と心理にアプローチしています(上述の「工学部で心理学の観点からの研究が必要な理由」も参照)。

卒業研究テーマは、希望、適性、研究室プロジェクトにおける位置づけなどを総合的に判断した上で決定します。研究分野の例は以下の通りです(これ以外のテーマに取り組みたい場合も相談に応じます。その場合には3月末日までに相談して下さい)。
  • 分かりやすさ、使いやすさ(ヒューマン・インターフェイス)
     《例》分かりやすいスライドの作り方。その提案と評価 / 新しい文字入力方式の提案と評価 / 文章の読みやすさと括弧のデザインの関係
  • 人間のエラーや、ついしてしまうこと
     《例》道ですれ違う際のお見合いや、後出し負けじゃんけんの分析 / ウインカー指示方向の判断ミスの要因を解明し、エラーしにくいデザインを提案 / 指先(ペン先)位置の運動調整課題にみられる人間特性の分析 / 錯覚の研究
     【参考】矢内の「サイエンス×アート」活動
  • 書き順の科学
    書き順(筆順)の根拠を科学的に探究する。新しい書き順の提案も!?
  • 人間の判断や行動と感性の関係
     《例》文字のデザイン(線の太さや角の丸み)が語の認識に影響を及ぼす? / 誤字を見逃す要因の解明
■教員からのメッセージ
  • 当研究室は、身近なテーマを独自性の高い着想で掘り下げることで世界と競う研究とすることを目指しています。
  • 学内外のイベントや展示に積極的に取り組む学生を歓迎します。
  • 自律性(自主性)と、学生同士のコラボレーションを重んじます。
■学生に求める知識、スキルなど
  • 人間に関心があり、定石(常套手段)のない分野に分け入る冒険心のある学生を歓迎します。
  • 現時点ではコンピューターなどの技能(スキル)がなくても、やる気があれば大丈夫です。先輩や仲間とともに、きびしく、楽しく勉強するうちに自然に身につきます。
■活動時間、一日のスケジュール、など
    ほとんどの研究室活動は10時〜17時の間に、研究室メンバーの都合を調整した上で、時間割を組んで実施します。
    ※ ただし、平日の9時〜18時はスケジュールを空けておいてください。
■各自の研究以外の研究室活動
  • 毎週の研究室イベントは次の通りです:ゼミ(研究報告・文献紹介)、研究状況確認面談、基礎知識勉強会、英語勉強会、など
  • 人間情報工学研究室(=矢内浩文研究室)と同じ情報工学専攻の梅津研究室との合同ゼミ
■研究室情報

修論題目と卒論題目のリスト[↑もくじ]

■2023年度

▼修士論文:

  • 漢字を模した画像を刺激とした人間の有効視野の測定
  • ペンタブレットを用いたターゲティング運動データ記録アプリケーションの開発
  • 授業スライドの表現手法と学習時の有効性の関係

▼卒論:

  • ペンのターゲティング特性に基づいた漢字筆順の考察
  • ホロウマスク錯視効果のあるペーパークラフト生成アプリケーションの開発
  • 日英同時アナウンスを実現するための音声処理手法の検討

■2022年度

▼修士論文:

  • ドローイング型ターゲティング運動データ記録アプリケーションの開発

▼卒論:

  • 書体が語の判断に及ぼす影響
  • ドローイング型ターゲティング課題中の視線
  • 図形をできるだけ正確になぞった軌跡の特徴

■2021年度

▼修士論文:

  • ドローイング型ターゲティング運動の分析
  • ストロークの太さが字の判断に及ぼす影響

▼卒論:

  • 写真のリアルさを低減させる要因について
  • 発話時の頭部の動きと座位姿勢からのメンタル状態推定
  • 画像としての文字の顕著性が人間の熟語認識に及ぼす影響
  • 画像としての漢字の特徴が人の漢字認識に及ぼす影響

■2020年度

▼卒論:

  • 二か国語を同時に音声アナウンスするシステムの検討
  • 画像としての文字の情報量が人間の熟語認識処理に及ぼす影響
  • 画像処理で得られるゆらぎを利用した人の内的状態の推定

■2019年度

▼修士論文:

  • 二字の位置関係が漢字二字熟語の語彙判断に及ぼす影響

▼卒論:

  • ペン字書写の正確さを自動採点する画像処理
  • コンフリクト課題としての後出しじゃんけんゲームの勝敗にみられる時間的特性
  • 文字の線の太さが語の意味判断に及ぼす影響

■2018年度

▼修士論文:

  • 自動車灯火器デザインと指示方向誤認識の関係
  • 文字の画像的特徴が漢字二字熟語の語彙判断に及ぼす影響
  • 二字熟語を構成する漢字を時間差呈示する手法を用いた語彙判断特性の分析

▼卒論:

  • フリーハンドで描かれた正方形の画像解析
  • フィッツの法則実験結果の画像解析
  • 後出し負けじゃんけんの人間特性
  • 文字サイズの違いが漢字二字熟語の語彙判断に及ぼす影響

■2017年度

▼修士論文:

  • 漢字画像の顕著性と二字熟語の語彙判断成績の関係

▼卒論:

  • 選択反応課題における迷い検出デバイスの開発と評価
  • 語彙判断実験結果の解釈のための漢字の画像特徴の分析
  • 二字熟語を構成する漢字を時系列呈示する手法を用いた語彙判断特性の分析

■2016年度

▼修士論文:

  • 空間的注意が二字熟語の語彙判断に及ぼす影響

▼卒論:

  • 自動車灯火器デザインと指示方向誤認識の関係(ナンバープレートおよび配置の影響)
  • 二字熟語の正誤判断課題に対する人間特性(縦書きと横書きの対比)
  • ゾグラスコープによる奥行き知覚量を決定する要因

■これ以前を含むリストは → こちら

電気電子工学プレゼンテーション(2021年度までのメディア通信工学輪講に相当)[↑もくじ]

電気電子工学プレゼンテーションは4年次第1クォーターに開講される科目です。指導教員が指定した文献(英文)を読解し、その内容を、学生、教員の前で発表(プレゼンテーション)します。人間情報工学研究室所属学生がこれまでに取り組んだ文献はこちらです。


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